インドのジェネリック薬品(後発薬)は世界市場において急速な成長を続けています。
残念ながらインドの医薬メーカーは先進的な医薬品の開発力、資金力まではないのが実情です。
しかしながら、特許満了の長い実績があるジェネリック薬品の製造に関しては、低い人件費などのコストのメリットで安価な製品を世界中へ提供が行われております。
もちろん、「安かろう悪かろう」ではありません。長い実績と先進国への医薬品の貿易から世界標準の品質、規格で製造されています。
ですが、これは信頼ができる大手メーカー製と限定した方が良いでしょう。
世界の五分の一がインド産ジェネリック
ご存知ですが、世界の5分の1のジェネリック薬品がインドで生産されいると言われております。
そして、国内産のお薬と思いきや、実は原薬がいインドなどの場合が少なくありません。
多くのお薬がジェネリックとなり低価格競争となっても、海外のお薬を直接、国内で販売する事が出来ないので、原薬を輸入して、錠剤に固める所を国内にして製造原価を下げる傾向が高まっています。
日本ではジェネリック薬品への馴染みが無い人も少なくないと思います。
いまだにインドというと「スパイシーなカレー」「唐突もなく踊りだす」、、、などの「新興国」「開発途上国」の「あの、インドが?」と印象をお待ちの方も少なくないかと思います。
実はインドはジェネリックの分野では大成長を遂げている国なのです。
人口ももうすぐ中国を追い抜く状況でGDPもすぐに日本を追い越す規模です。
インドの特殊な特許事象!あの会社の特許が無効?
インドでは世界の医薬特許を無視できる特殊な事情があります。
これは世界の医薬業界全体から言えば好ましくない「知的財産」事情があります。
*厳密な意味ではインドではジェネリック薬品は存在しません。
インドでは他国とは薬の特許制度が違うため、乱暴な言い方をうすればコピーが合法的に行えます。
「1970年特許法」として医薬品の「物質的特許」を認めないという政策があります。
インドで医薬特許を認めなかった目的は、
・インドの医薬品メーカー保護
・国民の誰もが平等に医療を得られる社会福祉整備
このように、インドの医薬品メーカーは世界の特許の影響を受けずにコピー(模倣)ができます。
*ただし、「物質的特許」のみが対象で「製法特許」は例外です。
「製造特許」つまり、作り方はだけは、模倣(マネ)ができません。
「製造特許」により、独自の製法で開発する必要がありますが、
薬はいくつかの原子で集合した単純な構造であるため「物質特許」の制限さえなければコピー(模倣)が比較的容易に出来てしまうのです。
特殊なお薬でなければ「製造(特許)」方法も既に特許切れが終了していますので、大きな問題ではありません。
インドでは新薬製造に関しては実績が少ないのですが、コピー品(ジェネリック)の製造に関しては実績と競争力を持っている医薬メーカーが多く存在しています。
このようにインドの医薬品市場では特許の縛りがなく世界医薬メーカーとの競争にはアドバンテージを持っている状況です。
医薬品のコピー天国政策は2005年まで、、今は?
ですが、この政策は2005年までのお話で、現在はインドでも物質特許が認められるようになりました。しかしながら、欧米並みのに特許が厳しく守られ管理されるよういは至っておりません。
ですが、結局、インドでは、
あまり権利関係の保護には積極になっておらず、引き続き特許を無視してジェネリック薬品が製造ができる環境なようです。
実際のところ、抗ガン剤、C型肝炎などの特許について、インド最高裁は「物質特許」を「認めない」などの判決がでるなど完全な物質特許の保護には至っていません。
特許保護は貧しい国の医療を受ける機会を奪ってしまう現実を無視できないのです。
やはり、「特許の保護」を厳格にしてしまうと、インドの医療の発展、貧しい国の人たちが「高額」な医療を負担出来るわけもありません。
日本人のような先進国からすれば、ちょっとした体調不良、風邪を引いたという程度でも、貧しく毎日の食事も事欠くような彼らにとっては、風邪一つでも命に関わる場合もあります。
もし、特許保護を優先にしてしまえば、公平に医療を受けられるように機会を奪ってしまうことにもなります。
もちろん、新薬開発会社の費用回収の機会を奪ってしまうという大きな問題があるのも確かです。
人道的支援を行う民間の国際NGO(国境なき医師団)
「国境なき医師団」をご存知でしょうか?
1971年設立の歴史のある民間の非営利団体です。
「国境なき医師団」は紛争や自然災害、貧困などの理由で健全な医療を受ける事が出来ない人へ活動をしております。
この団体が扱う多くの医薬品がジェネリック薬品を使っています。
例えばエイズ治療プロジェクトにおいてインドのジェネリック薬が全体の80%を占めているとの報告もあります。
確かに営利と世界の医薬の発展を考えると「知的財産」の保護は重要ではありますが、発展途上国の人たちにとっては安価な医薬品の入手は命にかかわる重要なもので有るのは確かです。
インドの医療技術
インドも初めからジェネリック薬品分野で世界の5分の1を占めるシェアを獲得できたわけではありません。
薬品の再梱包など簡単な小さな分野から始まった会社も多くあります。
新薬の研究開発技術においては、これまで新薬の研究開発をしてきた新薬会社には勝る事はないかもしれません、ですが決して市場にあるインドのジェネリック薬品が新薬の後発薬よりも劣っているとは言えません。
中には新薬より機能的に優れているのも出ております。
薬効成分の追加、吸収や飲み易さの改善などで新薬よりも優れたジェネリック薬品が存在致します。
具体的に言えば、錠剤から飴、トローチ、ゼリータイプ等で水なしの服用や飲み易くするなどの改良。防腐剤の添付により冷蔵保存が必須だったが室温保存が可能となったジェネリック薬品もあります。
インドジェネリック会社の紹介
お薬の通販サイト取扱いメーカ紹介
・ アジャント・ファーマ社(Ajanta Pharma Limited)社
・インタス・ファーマ社(Intas Pharmaceuticals)
シプラ社(Cipla)
シプラ社(Cipla)は印度最大のジェネリック医薬品企業。
1935年創業で、インドのムンバイ本社を構えています。
シプラの評価としては
2001年時代の事ではあるが、それまで多国籍企業が特許を盾にエイズ薬市場を独占していた。
当時は、エイズ治療には12,000ドル~15,000ドル/年間必要でしたが、それを350ドル/年間に提供する事を可能にした。
当初、2001年当時に高価なエイズ治療薬でエイズ治療が可能なのは、アフリカでは4,000人程度でした。
それが、2012年にはジェネリックのエイズ治療薬で世界の800万人まで超え、1人当たり85ドル/年間までコストを下げています。
この企業はご存知の方もいるかも知れません。シプラ社はHIV治療薬の価格を1日約1ドルまで引き下げた事で名を成した企業です。
取扱い商品数は1,500以上、製品従業員:25,000人以上、 製造施設46 、研究施設6つ、科学者1,300名以上でインドのジェネリック薬品企業としては最大手となっています。
売上としては、599億(2018年時点、1ルピー1.52円計算)
アジャント・ファーマ社(Ajanta Pharma Limited)
2000年にはインド株式市場にも上場し、現在では従業員数は全世界で7,500人以上規模の企業まで成長しております。
7つの製造拠点を持っておりこのうち2か所の施設がアメリFDA(食品医薬品局)から認定を受けています。研究施設も持っており750人を超える科学者で構成されています。
ブランド化されたジェネリック薬品事業は、インド国内だけでなく、アフリカ、CIS、中東、東南アジアの30カ国を超える国で展開されています。
アジャンタファーマ社は、心臓病、皮膚科、眼科及び痛み止め等の様々分野の医薬品を取り扱っています。
<売上規模>
売上としては、314億円(2018年時点、1ルピー1.52円計算)
売上規模としては凄く大きいですね。
アジャンタの評価としては
これまでも何度もビジネス雑誌にも取り上げられ、近年でいえば2018年にアメリカで発売される「Fortune500」にて「富の創出」という部門で第3位に掲載されるほど急成長している企業です。
Fourtune500,Forbes等のアメリカ系及び国内外の様々メディアで取り上げられています。
業績の良さで評価、認知されています。
サン・ファーマ(Sun Pharma)
1983年にインドのムンバイに設立されました。
世界第5位のジェネリック医薬品会社で皮膚領域に強みを持っています。
世界に47の製造施設と30,000人以上の従業員、研究員が約2,000名で構成されています。
2,000種以上の商品を取り扱い、研究施設、子会社を世界各国にもっており日本法人も持っております。
また、各種製造基準(cGMP)などをクリアしており、米国FDA等の各国の認可も受けております。
*日本法人も2012年に設立されました。日本語サイトも正規に運用されています。
https://www.sunpharma.com/ja/japan
売上としては、396億(2018年時点、1ルピー1.52円計算)
サン・ファーマ社の評価
サンファーマはジェネリック業界では常に上位にあり存在感があります。
FDA当局者の評価:「サン・ファーマ社の品質管理には定評がある。」
*(米国ウォール紙の記事より)
詳細としては、
日本医薬メーカ「第一三共」の子会社であるインド最大製薬会社であった「ランバクシー・ラボラトリーズ社」をサン・ファーマへ売却。
これは、
「第一三共」の子会社「ランバクシー社」が米国FDA対応ができてない等、
品質管理等で大きな問題を抱えておりました。
2014年に
「第一三共」の「ランバクシー」の管理、経営を諦め、「サン・ファーマ」へ売却。
これに対して米国ウォール紙は、「現在および過去のFDA当局者の評価によると「サン・ファーマ社」の品質には定評がある」と評価をしておりました。
Intas Pharmaceuticals(インタス・ファーマ社)
1980~1985年にインドのグジャラートに設立されました。
未上場ながらもインド国内では11番目ジェネリック医薬品企業になりますが、約1万商品を持ち、研究開発部門があり400人以上の科学者が在籍しています。2018年には17億ドルもの売上高を記録したとのことです。2010年にはイギリス大手医薬品メーカーのアストラゼネカと業務提携(癌治療薬とジェネリック製造分野にて)。
近年では、2018年「the Global Generics&Biosimilar Awards 2018」でグローバル・ジェネリックス&バイオシミラーズ賞を受賞しました。
日本のジェネリックとの比較
海外医薬品がジェネリック薬品として激安で販売されていますが、もちろん日本製のジェネリック薬品があります。どのような違いがあるのでしょうか?
一番大きな日本でジェネリック薬品の特徴としては、ジェネリック薬品の使用割合が増えると財政負担が大きく削減出来ます。 日本においては政府主導でジェネリック薬品への移行を進めておりますので状況は日々変化しております。
日本でジェネリック薬品の使用割合が1%増えるだけで財政負担が10憶~15憶削減できるなどとも言われています。
ジェネリック薬品は日本製も海外製も先発薬と同じ薬効成分
簡潔に結論から言いますと、
・日本ジェリック薬品は厚生労働省のお墨付きがある。
・未承認薬は各国の政府機関のお墨付きがある。
どちらのジェネリック医薬品は後発薬とも呼ばれ、先発薬(先に発売された医薬品)と同じ薬効成分を含む医薬品です。
新薬とジェネリック薬品の大きな違いといえば、
「発売」されるまでにかかる開発コストでは無いでしょうか。
新薬は薬効がある物質(成分)を見つけ出し、副作用などを含めて人体にどのような効果があるのかを見つけ出すところから始めます。
もちろん、研究の途中で頓挫(とんざ)する場合も多々あり、それまでの研究費用が無駄になる場合もあります。
想定外の驚きの効果
このように想定の効果が得られない場合など研究開発費が無駄になる反面、想定外の効果により莫大に利益を得る場合もあります。
つまり、狙っていた効果以外の副作用が実は他の治療に役立つ効果を持っている場合などもあります。
例としては、
男性向けの勃起不全の治療薬ですね。元々は血圧を下げる目的で開発がされていたお薬でした。
これが臨床試験の最中に想定外の効果があった事より「バイアグラ」というED治療薬が商品として一躍有名になりました。
その他、薄毛治療として使われている「プロペシア(Propecia)」も元々は前立腺の治療薬が目的でした。
ジェネリック薬品は単なるコピー品だけじゃない。
ジェネリック薬品(後発薬)と先発薬との違いとしての2つのパターン
▶改善により先発薬を超える場合もある
☑錠剤の小型化や間違って誤飲しないように視認性の向上
誤飲が無いように色や刻印の変更
☑常温での保存(防腐剤)を可能にする、温度や紫外線などの外的要因からの保護
☑飲みやすさへの工夫(味や形の変更(錠剤⇒ゼリー状など)
味や匂いの工夫で子供でも飲み易い
☑錠剤が苦手な人のためにゼリー状などへ変更
☑体への吸収のしやすさ等の工夫
▶製剤特許(製造方法)の権利が有効なため新たな製造方法を選択
このような工夫、改善はインドのジェネリック薬品でもよく見られますね。
例えば、
☑ 錠剤形状に工夫(飴、ゼリー状)し手軽に服用しやすい
☑ 用量の調整ができるように錠剤に分割線を入れる
☑ 体格を考慮して細分化した成分量タイプの追加
製剤特許を回避するため添加剤などの工夫が必要ではあります。添加剤が異なれば同じ薬効成分、安全性はないのではという考え方の人もいます。
ですが、お薬は成分の集合体で、且つ錠剤の作り自体は単純なので大きな問題になりません。
一部お薬では錠剤設計で溶けるタイミングを考慮したりしますが、一般薬では気にするほどのモノでもありません。
海外(米国)のジェネリック普及率は90%
日本ではジェネリック薬の普及が他国と比べると遅れていると言われています。
冒頭でも書きましたが日本の高齢化などの様々な事情で医療費負担が大きな社会問題となっているため、現状では政府主導でジェネリック薬品への啓もう活動が進んでおります。
日本は健康保険制度が普及しているため、病院での処方箋負担額は1割~3割ですね。
ですので、価格の安いジェネリック薬品が選択肢としてあっても、支払う金額はあまり変わらないためジェネリック薬品を選択する動機が低いためでしょう。
ですが、米国(海外)では日本とは社会保障制度が異なり、医療費負担が日本よりもかなり高いのでジェネリック薬品を積極的に選択されたのでしょう。
日本の傾向としては、
病院での支払いは社会保険で実質高くないので安心した新薬が選択されがちなんですね。
「調剤費用」なんてインターネットで調べられ、必要な薬剤が分かるんですからね。
その他、 病院でもらう調剤明細書を見ても点数表記なので実際どんな内訳かが分かりにくいですが、処方箋の金額には「調剤費用」が全体の3割程度があります。
毎回、同じお薬を処方されるのに「調剤」の費用は大きな割合ですね。
(健康保険制度のために見えにくいですが)
全て海外のジェネリック薬品で調達出来たら調剤費用もかからなく、お薬自体の費用も低く抑えられるので、国の財政にも、皆さんの財布にも優しいですね。
一度、積極的に ジェネリック薬を選択して頂ければメリットの大きさを理解して頂けるかと思います。
まずは身近なところから試してみませんか?